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活動報告・発行広報物

【開催報告】第52回フミコムcafe-オンライン開催- "スキ"だけでは伝わらないものがある~振り返り、見つめなおす オンライン交流会~

地域連携ステーション フミコム
  • 文京区全域
  • その他
日時:2020年7月15日(水)19:00〜20:30
会場:オンラインにて開催
ゲスト:橋本 圭右さん(サンクチュアリ出版編集長)
参加者:39名

7月のフミコムcafeは、年に2回開催される交流会です。
今年はオンラインにてフミコムcafeを開催していますが、初めてオンラインで開催する交流会でした。
ゲストには区内の出版社であるサンクチュアリ出版編集長の橋本圭右さんをお招きし、編集者視点からの話題提供をいただいた後、ご自身の活動を振り返りながら参加者の方同士での交流をしましょう、というプログラムで全国から39名の方にご参加いただきました。
「サンクチュアリ出版って知っていますか?」
橋本さんからの投げかけで和やかに交流会は始まりました。
参加者のみなさんからチャットで届いたコメントにも丁寧に目を通してくださり、すこしコミュニケーションを取ったところで、橋本さんのゲストトークへ移ります。

サンクチュアリ出版は本を読まない人のための出版社、をスローガンに掲げ、出版する書籍は年間12冊まで、と丁寧につくって丁寧に売ることを決めている「書籍専門」の出版社です。
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●橋本さんはなぜ編集者になったのか??
小さい頃は本を読んでいたものの徐々に読まなくなり、高校時代に起こった出来事をきっかけに「これからは文章で生きていこう」と決意したといいます。
ところが大学へ進学し、フリーライターのバイトを続けるにつれ、なんのために文章を書いているのか悩み、文章と向き合ってみたものの3カ月で原稿用紙1枚も書けなかった。伝えたいことに波があって、それでは仕事にできないと感じたそうです。
そうして編集者としての仕事に就き、編集者は人の力を応用して拡散し、より大きくしていく仕事。面白いことを言っているのに見せ方・伝え方がいまいちの人の伝えたい気持ちに、悩みに、寄り添って答えを作っていく。
この仕事は自分に合っていた、とおっしゃっていました。
●「批判的な視点」を持って話をする
現在、出版しようとする方はすでに発言力があり、フォロワーも多く、批判にさらされていないことが多いといいます。
ところが知名度が高いのと興味を引くのは全く別のこと。
「あなたの言っていることに興味があります」と伝える一方で、「あなたの話には誰も興味ないですよ」という目線で話をし、「どうしたら気になってもらえるのか」を考えていくそうです。

専門家や好きな人だけでは客観的な視点が持てず、好きには理由がないうえに好きだから出来てしまうので「なぜ興味がないのか・できないのか」が考えられなくなってしまう。
だからこそ、好きじゃない人の立場から話を聞いて、どうしたら届くのかを考えてトライアンドエラーで繰り返していくべきだとおっしゃっていました。

わかる人にだけわかってもらえればいい、という考え方もありますが、本の魅力の一番は「わかっていない・嫌いな人にわかってもらう」こと、と橋本さんは言います。
本当に届けたい相手には、「魅力」を伝えるというよりも北風と太陽のように、好きだということだけを伝えるのではなく「嫌いなのもわかるよ」という側面からのアプローチのほうが「届く」とお話されていました。
●届けたい相手を明確にする
たとえば40代男性、というような漠然とした人はこの世にいない。しかし新橋で働く人、となると少し限定されますよね。
橋本さんは具体的に人物像をイメージして、その方に届けるための言葉などを考えるといいます。たとえば「新橋で働く人」を届けたい相手とするのであれば、実際に1日新橋の喫茶店で仕事してみる。すると実際に働いているところが自然に入ってきて、顔が見えるようになり、対象に合わせたキャッチコピーなどが浮かんでくるそうです。
ただし何かを考えるとき、一人じゃなく複数で行うことのほうが多いと思います。
そんなときに「みんなが同じ顔を見ているか?」が大切で、漠然とした対象ではなく、具体的に顔の見える「対象」を設定しておくことが重要だとお話されていました。
●本を「怖くない」ものにしたい
大好き!と背中を押してくれる好意的な編集者と、批判的な視点を持って接する編集者。橋本さんは後者ですが、わかりやすくすることに命をかけているといいます。
ゲーマー好みの操作が複雑な機種が全盛の時期に、使えないひとからすると「怖い」とさえ感じてしまうゲームに、誰にでも馴染みのあるリモコンと名称を付けた操作の簡単なゲームを発売したメーカーをたとえに出されていたように、
本を読んでいないと恥ずかしい、大人としてどうなの、と言われてしまう世の中で、本を怖いものだと思わせないような編集者でありたいと締めくくられました。

ゲストトークののち、参加者のみなさまからチャットで挙げていただいた質問にもお答えいただきました。抜粋してお伝えします。

・どういう瞬間に自分の仕事に価値があると思いますか?
編集者とは元々引き立てる仕事、本が売れることももちろん目標ではありますが、「新しい市場を開拓した」ような見えない喜びを感じるとやってよかったなと感じる。本には新しい開拓の力がある、の言葉が印象的でした。

その後、参加者の皆さんを運営側でランダムにグループに振り分け、感想のシェアを行いました。
みなさんが発言できるように、人数は少人数に設定しています。
グループのなかでどんなお話をされたのか、アンケートに記載いただいた内容を抜粋してお伝えします。

・今回の一番は北風と太陽、嫌いとか苦手と思っている方々にどうアプローチするか!これは、仲間とともに肝に銘じたいと思います。
・「好き」だけでは伝わらない、関心のない人にこそ届くようなものでないといけない。
・好きなことを追求していくことは難しいことだと気づいた。
・まちのことは、そのまちのことを大事に思ったり、感心をもっているひととともに盛り上げたり、一緒にできることがあるのだと実感したこと。
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当日は会場で2名の方がグラフィックレコーディングに取り組んでくださいました!
久しぶりに模造紙に書かれたグラレコは館内にも掲示中です。
ぜひお写真では見えない細かいところも、お近くにいらした際はお気軽に館内でご覧くださいね。
(8月に開催されるグラレコ入門編も、申込始まっています!)
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次回のフミコムcafeは8/26(水)19:00から、
「子どもが楽しければ大人も楽しい! 放課後はゴールデンタイム」
ゲストは放課後NPOアフタースクールのすずきかおりさんです。
開催案内:https://www.d-fumi.com/article/detail/1206

引き続きみなさまのご参加お待ちしております!