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地域連携ステーション フミコム

活動報告・発行広報物

【開催報告】活動入門講座「今だから考える生き方・はたらきかたのプライオリティ」

地域連携ステーション フミコム
  • 文京区全域
  • 職業・暮らし
日時:2020年7月11日(土)10:00~12:00
会場:ZOOMオンライン
講師:芦沢 壮一さん(はたらくを楽しく創る スキルノート主宰/ファシリテーター)
参加者:19名

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い緊急事態宣言が出された4~5月。私たちがこれまで当たり前でそう簡単に変わらないだろうと思っていた日常ががらりと変わり、リモートワーク、オンライン化などが進む一方で、外食や友人と集まるなどは自粛せざるを得ない状況が続きました。宣言が明けて1ヶ月、通勤時間帯の電車は再び混雑しはじめ、在宅勤務からオフィスへ出勤のスタイルに戻る方も多くなり、少しずつ以前の日常が戻ってきているところですが、緊急事態宣言中に感じた、「今まで当たり前だと思っていたことが実は当たり前ではなかった」ということ、その固定観念を外して物事をとらえ直してみたところで、自分が大切にしたい暮らし・働き方の軸を改めて考え直す機会になるのではないかとの思いからこの講座の開催に至りました。
講座の最初はアイスブレイクから。オンラインセミナーが増えてきているとはいえ、ZOOMの使い方に慣れていない方もいらっしゃることを考え、表示名の変更やチャットの使い方などの簡単なレクチャーののち、チャットの使い方の練習として「お勧めの朝食メニュー」を書いてもらいました。洋食から和食まで様々なメニューが出てきて改めて一人ひとりの暮らしの多様性を実感しつつ、ブレークアウトセッション(小グループでのワーク)で自己紹介を行いました。

本編は大きく分けて5つのパートで進んでいきました。
①コロナの影響による「フリーランス・会社員」の意識の変化について
②そもそもの社会変化~LIFE SHIFTのはたらきかたについて
③行動のプライオリティを認識する
④変化することを計画する
⑤強みを発揮する領域を見つける・創る
①の部分については
フリーランスの方は5月末の時点で約8割の方が何らかの影響を受けたとの調査報告があり、減収や労働時間の減少はあるものの、アフターコロナに向けて、働き方に対しての意向としては今のスタイルを続けたい、働く場所などに制約されない今のスタイルに対して前向きな姿勢があるとのこと。

一方で給与生活者は、働く時間は若干減ったという方は多いものの、収入は変わらないという方が約6割。
今後の働き方への変化については、テレワーク、オンラインコミュニケーションを取り入れたいという意向はあるものの、アフターコロナ期については、生活とある程度近いコミュニティにかかわる、会社の人だけが知り合いだけではなくということが会社員の方の想定になっています。
https://blog.freelance-jp.org/20200521-9170/
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②は、そもそもコロナ期より前より近年盛んに言われるようになってきている「LIFE SHIFT」。
教育、仕事、労働と3つの段階にキレイに分かれる時代から、マルチステージで働き甲斐も得ながら、生活の糧も得ながら100年時代を生きるということが言われてきています。

また、コロナの影響でオンラインが進んだことにより、マルチステージ化が進んでいると考えることもできそうです。

会社勤めか、完全独立かどちらか、というのではなく、ポートフォリオをいくつか持つという選択肢は今後ますます注目されそうですし、実際に政府の未来投資会議でも、兼業・副業はメイン戦略になりつつあります。

ここまでの感想としては以下のようなコメントが寄せられました。
・ポートフォリオワーカーという言葉が印象に残った
・一つの組織に縛られない働き方は現実的だなと思った
 (NPOや非営利は複数に所属している人が多いなという印象)
・通勤にかかる時間がなくなったのはよかったが、他者とのコミュニケーションは減ってしまったのでそれをどう補うかを考えたい
・労働者人口の年齢を考え直した方がよいのでは?
 子育てや介護から解放され、収入に縛られずにやりたいことをやるというところの視点で仕事を選べるようになっているので、やりたいことを模索している。
・将来フリーランスやってみたいと思う
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③プライオリティを設定する
続いては、ワークです。最近2週間の行動を振り返り、スマホやスケジュール帳を見て具体的に何をしたか10~20書き出してみました。
さらに、それらの項目を、緊急/緊急ではない 重要/重要ではないにそれぞれプロットして、小グループに分かれてシェアしました。

グループワーク後の感想では、
・緊急と重要がたくさんの人もいるが自分は反対で、いろいろなとらえ方があるのだと感じた。
・緊急じゃないことがたくさんできて豊かだったというイメージがある。

「仕事で印鑑をもらうために出社した」のように、緊急なことは必ずしも重要でないみたいな気付きがあったり、いわゆる「不要不急」の部分こそが精神的なゆとりの部分だったりもします。
自分にとってどの領域を大事にしたいかを改めて振り返ってみることが大事です。

ここで芦沢さんは、
「詰まったお弁当箱に新たなおかずを入れたい時にどうするか?」
というたとえを出されました。
そのためには「何かを減らすこと」。
ムダなことは一つもないけれども、だからこそ自分なりに優先順位をつけて、整理をしていくことも必要なのではないでしょうか。

2週間ごとの行動を分類するのは半年に一度など定期的にやってみると自分の行動の変化などを確認するのにいいかもしれません。

参加者からは「時間をかけてでもじっくり取り組みたいテーマを考えたい」、というコメントも出てきましたがこのあたりのことは講座の後半のトピックにつながっていきます。
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いよいよ講座も終盤。
④変化することを計画するというパートでは、
キャリアを考える上では「will」「can」「must」のバランスとよく言われますが、芦沢さんは「稼ぎ」「しごと」「くらし」という整理でお話をされました。
いずれにしても自分がありたい姿と今現在の自分の姿はどうかというギャップを認識することがポイントになってくるので、ワークとして、今の暮らし方の課題(変えたいと思っていること)と、本当はこうしたいということについて各自一言で書いてみました。

最後⑤のパートでは、個人が社会に価値を発揮するために必要なことは何だろうという問いが発されました。

〇〇で働いている自分ではなく、一人の個人として何ができるか、と考えると、私たちは「好き」や「得意」からものを考えがちですが、世の中で大事なのは一つには市場を理解し自分はその中でどのポジションをとるか。やりたいことについては誰かしら先行者がいれば、それをちょっとカスタマイズするようなフォロワーもいれば、メジャーな領域では漏れてしまう細かい分野に特化するニッチもある。
これのどこをやりたいのか、みたいなことはじっくり時間をかけて向き合うとよいと芦沢さんは話します。

実はポイントなのは、「何をするか」よりも「誰がするか」の視点なのかもしれません。
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最後、振り返りで受講生の方からいただいたコメントは以下のとおりです。
・緊急・重要のワークシートは家族だとやりにくいかも
・まだまだやりたいことがボヤっとしているなと思いました
 (これに対しては、ボヤっとしていることが分かったことも大事ではないでしょうかと芦沢さんからコメントがありました)
・価値の創出につながることが大事ということがすとんと落ちました
・生き方・はたらきかたのプライオリティは自分では当たり前だと思っていても、他者と振り返りをすることで改めて気づくことがあると思いました

新型コロナウィルス感染拡大という未曽有の状況で、思いがけず自分の働き方、生き方を見つめ直す機会ともなっている中、この講座がきっかけとなり、改めて自分がどう生きていきたいか、そのために何をしていくかを整理できて、新たな一歩を踏み出す一助になっていれば幸いです。
フミコムではこれからも「キャリア」を切り口に様々なイベント・講座を行っていきたいと思います。