日本洞窟学会発行のCaving Journal,2018年8月No.63にNPO 法人火山洞窟学会による「富士山麓・大淵丸尾溶岩流上流部に世界最大の縦型溶岩樹型を発見」を掲載しました。
溶岩樹型とは、流動する高温の溶岩が樹木を取り囲み、冷え固まったときに、燃焼した木の幹の跡が空洞となった木の鋳型です。富士山の溶岩流の中には多くの溶岩樹型が点在しています。
2017年末、NPO法人火山洞窟学会は、富士市の入山許可を得て、富士市の市有林内にある大淵丸尾溶岩流上流部の調査を行い、世界最大級の縦型溶岩樹型の存在を確認しました。縦型溶岩樹型は写真に示すように、短径4.8m/長径5.7mの縦樹型(溶岩深さ:最深3.6m、最浅1.6m)です。それまでの世界最大の縦型溶岩樹型は、やはり、富士山・柏原溶岩樹型群の短径 3.68m/長径 4.3mの縦型溶岩樹型でした。
大淵丸尾溶岩流(AD850-920)は日本ランド溶岩流(BC2000-1700)および一部勢子辻溶岩流(BC3000)の上層を流れ、3000年をへた樹林帯に溶岩が流れ込んだと考えられます。噴火と噴火の間の長い期間、樹木の成長しやすい温暖な気候と湿潤な環境のため巨大な樹木が生育していたと考えられています。