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地域連携ステーション フミコム

活動報告・発行広報物

【開催報告】第34回フミコムcafe「外国人が「地域社会」でくらすということ」

地域連携ステーション フミコム
  • 文京区全域
  • 国際・人権・男女共同
  • 職業・暮らし
  • その他
日 時:2019年1月23日(水)19:00~20:30
会 場:フミコム C-base
ゲスト:原田 麻里子さん(東京大学グローバルキャンパス推進本部 留学生支援室/ぶんきょう多文化ねっと)
参加者:60名超
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昨年には「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し、今後ますます日本で暮らす外国人が増えることが連日報道される中、文京区内の日本語教室などで長年活動され、東京大学グローバルキャンパス推進本部 留学生支援室にお勤めの原田麻里子さんをゲストに迎え、文京区の現状や、外国人が地域社会で暮らしていく際の「壁」についてお話を伺いました。

学生にとっては試験期間中、インフルエンザも猛威を振るう中で予想をはるかに上回る60名超の方が集まった2019年最初のフミコムcafé。

「我々は労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」
このスライドからゲストの原田さんのお話は始まりました。

この言葉は、50年以上前にスイス人の作家であるマックス・フリッシュ氏が述べたものです。
労働力不足から外国人の受け入れを拡大したが、当たり前の話でやってくるのは人間。
労働者であると当時に生活者であるとの観点を私たちは持てているでしょうか?

コンビニや飲食店の他、区内の高齢者施設でも外国人のケアワーカーの受け入れをしているところがあるなど外国人の方々と接する機会は増えてきています。

2008年末には7,000人余だった文京区の外国人住民の数も、2018年末には約11,000人とこの10年で1.5倍ほどに増えています。外国籍の新成人の数も、全体の約6人に1人にあたる300人。これは23区中7位にあたります。
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こうして外国人が増えている一方、彼らが地域社会でくらす上でのハードルが3つあると言われています。
それは、「制度の壁」「ことばの壁」「こころの壁」。

この壁の一端は、受け入れる私たち地域住民の側の意識によるところもあります。私たち自身は普段どれだけ「壁」を意識しているでしょうか?

制度の面では、ビザの種類によって行動に制約があるということの説明や、外国人の子どもにとって学ぶ権利はあるけれど、就学義務はないと言った概要の説明がありました。

ことばの壁についても言わずもがなですが、日本語を習得する機会が少なかったり、行政サービスを始めとしたもろもろの情報が多言語化されていない、サポートが不足していることなどがあります。

そして、一番大きいのは「こころの壁」。
少し古いデータですが、「文京区外国籍区民の住みやすさ調査」(2003年)によると、文京区が住みやすくなるために希望することという質問事項では、「外国人に対する差別をなくす」が最も多く50%近い数字でした。
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これに対して、「私たちは担い手の一人としてどんなことができるでしょうか?」との原田さんからの問いを題材に、参加者の皆さん、お近くの席の数名で意見交換を行いました。

地方から上京してきた大学生は、「自分も東京に出てきたばかりの時は“居場所感”がなかった。外国人に限らずそういう思いをしている人はいろいろな場面でいるのではないか。だからこそ同じ人間としてどう接することができるかだと思う。」とコメント。

また、中国から日本にやってきた方は、「自分の昔のことがフラッシュバックしてきた。今では自分から同じマンションに住む方、特に同じフロアの方には挨拶しようと心掛けている。ボランティアは自分のためでなく、人のためとよく言われるけれど、実際には人のためにやっていることが自分のためにもなっていることを感じる。」とコメントしてくださいました。

その他、東大の留学生寮が今年中に完成し入居が始まる地元の町会の方もご参加くださいました。どう接していったらいいか、どういう不安があるか、そういったことを周囲や大学側とも話をしていくプロセスこそが相互理解には大切なのかもしれません。
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アンケートは以下のようなコメントをいただきました。
・まず身近にできること、あいさつから始めたい。人はみんな何かしら良いところがある。良いところをみつけそれを周りの人たちに伝え交流の輪を広げていきたい。
・自分が「わかる」ことをあたり前と思わずやさしいことばを使う。わからない人がいるかもしれない前提でコミュニケーションすることから取り組みたい。
・「心の壁」は外国人とだけでなく日本人同士でもある。そこから取り組んでいきたい。
・外国人の子どもが希望することは「日本人との交流の機会を作ってほしい」と聞いたことがあります。このあたりをもっと見える化していき、マッチングすると良いと思いました。

イベント終了後もゲストの原田さんと参加者の方、あるいは参加者同士でも交流が進んでいきました。ここでの出会いが新たな活動につながっていくことを願っています。

フミコムでは今後も地域の課題を知るはじめの一歩、そして同じ関心事項を持つ方との出会い・交流の場としてのフミコムcaféを開催していきます。引き続き多くの方のご参加をお待ちしております。

フミコムC-base(文京区民センター地下1階)